景況感の重要性

1、景況感が注目される訳
企業の景気に対する見方である景況感が最近注目されている。企業の経営者が「景気がいい。これからもっと良くなる」と考えると、工場の生産や店舗を増やし、人を多く雇うなどの動きが拡がると予想される。

逆に「景気は悪い。これからもっと悪くなる」と考えると、工場の生産や店舗を減らし、採用の手控えやリストラをしていく可能性がある。これは正に株価を上下させる重要なポイントとなるので、この経営者の心理状態や経営者の判断をいち早く察知していくことが株価の動向を的確に掴む上でも重要と言えるだろう。

2、日銀短観
日本銀行の全国企業短期経済観測調査のことを日銀短観という。これは約1万1000社の企業の経営者が対象で、回答率も約99%と非常に高いことから市場から特に注目されている。

調査対象は企業の業種や規模などで偏りが出ないように調整されており、また回答から公表までの期間が短いので数字にはとても信頼感が持てると言えよう。

頻度と時期だが、まず毎年3月、6月、9月、12月に調査が行われて、それぞれ4月、7月、10月、12月に結果が公表されるというとてもスピード感に溢れている感がある。

また、日銀短観の前進となる主要短観(主要企業短期経済観測調査)が始まったのは1957年だ。74年から現在の形式で公表され、国内でも歴史のある経済調査の一つとして位置づけられている。

政府や日銀の景気に対する見方ではなく、生の企業経営者の率直な意見を集計したものなので、それだけ信頼性も高いとされている。

次に、日銀短観で注目すべき点についても述べておきたい。足元の業績が良いと答えた企業の割合から、悪いと答えた割合を引いて算出したものが『業況判断DI』と呼ばれるものだ。

このDIの中でも3か月先の業績を予想する『先行き業況判断DI』や設備投資計画の増減を示す項目は、株価の動きを予想していくにはかなり重要指標だ。また、大企業や製造業が見込んでいる想定為替レートや、働く人たちが過剰なのか不足しているのかを示す『雇用人員判断DI』の数値を注目しているアナリストも多い。

3、長期金利
長期金利とは、国が新たに発行する満期10年の国債(新発10年物国債)の流通利回りを指している。住宅ローンや銀行預金などの金利を決める際の目安になっている。

景気が良くなると上昇し、不景気のときには低下する傾向があることから経済の体温計に例えられることがある。金利が決まる仕組みを簡単に述べておこう。

国債は市場で売買されている金融商品の一つだ。一般の商品と同様に買いたいと考える人が多ければ値上がりし、逆に少なければ値下がりする。国債が値上がりすると金利は下がり、値下がりすると金利が上がるという逆相関関係になっている。

イメージしづらいと思うので、逆相関関係になる理由も解説する。例えば額面価格100円で表面利率2%の10年物国債を購入したとする。満期まで保有すると毎年2円ずつ利息を受け取るので、合計20円の利益となる。

国債が80円に値下がりしたときに購入して満期まで保有した場合、毎年2円ずつ受け取る円では同じだが、購入価格と額面の差である20円も利益となる。つまり、80円を投資することで10年かけて40円を稼ぐことができるので利回りは年5%なる。逆に国債が120円に値上がりしたときに購入した場合では、合計20円の利息を受け取ることでは同じだが、、購入価格と額面の差である20円を負担する必要がある。

差し引きすると取り分は0円になってしまい、結果として利回りは0%ということになるのだ。最後に応用編として、中央銀行の金融緩和や金融緩和縮小での影響について解説しよう。

中央銀行が大量の国債を買い続けるという大規模な金融緩和政策がされていたとする。この国債買い入れの購入量を絞り始めれば、国債の買い手がそれだけ減ることを意味する。

つまり、市場における国債の人気が相対的に低下する為、価格は下落する。価格が下落するということは、上記で説明したものと同様に金利は上昇するという流れになる。つまり、金融緩和の引き締めは金利上昇効果を齎すということだ。