株式発行市場

1、エクイティファイナンス
新たに株式や新株予約権付社債(以前の転換社債、ワラント債)を発行して資金調達する方法をエクイティファイナンスという。では、株式流通市場と深く関係する自己株式取得や売出しなどの株式発行市場を見ていこう。

(1)自己株式の取得
自己株式の取得とは、過去に発行した株式を発行会社自身が流通市場にて購入していくことである。実質的には株式で調達した資金を返済したことと同じである。取得した株式は、金庫株として発行会社が保有し続けたり、再び流通市場で売却して資金調達に活用する方法、その他に即座に償却する方法がある。

(2)売出し
売出しとは、既発行の株式を売却日や売却価格などに金一の条件を定めた上で、多数の投資家に売却する方法だ。既発行の株式を大量に市場に放出する際に、株価が大幅に下落してしまう危険性を避けるために用いられる手法である。

(3)株式分割
株式分割とは、新たな資金の払い込みがなく、、既存株主に対して一定の割合で新株式を発行する方法だ。例えば1株を2株に分割した場合、理論的には株価や1株当たり配当金は分割前の半分になる。しかし実際には、株式分割後の1株当たり配当金が分割前の半分に減額されるケースは少なく、株主の受取配当金総額は分割前よりも多少なりとも増加する傾向がある。これはより多くの株主が当銘柄を購入していくという期待があるからと言えよう。

(4)増資
増資とは、新たに株式を発行して資金調達する方法をいう。新株割当の方法として、既存株主に割当てる株主配当、特定の第三者に割当てる第三者割当、また広く一般から投資家を募る公募がある。通常は時価発行増資であれば問題ないが、時価よりも著しく低い価格で第三者割当増資がなされる場合、既存株主にとって著しく不利になってしまうことから株主総会の特別決議にて承認を得る必要がある。
※尚、特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上をもって決議される方法をいう。

(5)新株予約権付社債
新株予約権付社債とは、定められた期間内に、定められた株数を一定の価格で発行企業から取得できる権利のこと。新株予約権が行使された場合、払い込みの代わりに社債が全額償還されるものを転換社債型新株予約権付社債という。また、経営者や従業員に付与されるストックオプションも新株予約権だ。

2、株式の新規公開

(1)東京証券取引所
東京証券取引所では形式要件と適格要件を上場基準として審査している。形式要件には、上場時の流通株式数、株主数、事業継続年数、時価総額、純資産の額、利益額、財務諸表等の項目が挙げられる。そして、現在では退出基準も強化されてきている。

(2)新興市場用の公開市場
新興企業向け公開市場の内、現在主力となっているのはジャスダックと東証マザーズの2市場である。

3、発行価格の決定

(1)IPOの価格決定方法
新規公開価格の決定方法について入札方法に加えて、1997年の後半からブックビルディング方式の両方が認められている。ただ、ブックビルディング方式が可能となった1997年の翌年である98年以降は、一般的には入札方式よりもブックビルディング方式にて公開価格が決定されているのが実情だ。

念のため、二つの入札方式の違いについても触れておこう。

・入札方式…1株当たり純資産等の比率から新規公開会社の類似会社批准価格を算出して、その85%を入札下限価格とする。そして、投資家がコンベンショナル方式で入札して、公開価格は落札価格の加重平均に基づいて決定している。
※コンベンショナル方式とは、落札者が入札価格の高いものから順番に決定する方式のこと。

・ブックビルディング方式…事前に有力な機関投資家にヒアリングを行った上で仮条件を決定する。その後、投資家全体の反応を見極めた上でこれに基づいて公開価格を決定する。

(2)上場企業の価格決定方式
上場企業が公募増資を行う際には、価格決定日近辺における株式市場での価格を基準にして発行価格を決定している。この方式を時価発行という。価格決定日には当然のことながら発行日の株価は判明していないので、実際には株式市場の時価から数%ディスカウントした価格を発行価格とすることが慣例となっている。 また、新株予約権付社債の権利行使価格も時価を基準に決定されている。