産業分析

企業の将来を予想するためには企業の属する業界の国内外の動向や企業の強みや弱みを把握する必要がある。ここでは企業業績に外部から影響を与える経済指標として景気動向指数、比較方法としてセクターアロケーションを取り上げる。

1、景気動向指数
景気局面の判断や予測景気転換点を判定するにはDI(ディフィジョンインデックス)やCI(コンポジットインデックス)が用いられる。DIは景気に敏感な指標を選び出し、その内上昇している指標の割合を表す。DIは景気変動の方向性はわかるが、変動の大きさを直接は示していない。そこで、景気の強弱やスピード感を掴むための指標としてCIがある。CIはDIと同じ系列を採用し、その採用系列の変化率を合成して作成されたものだ。一般に指数には次の3つある。景気に先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、そして遅れて動く遅行指数です。先行指数は一致指数に数か月先行するので景気予測に使われ、逆に遅行指数は一致指数に半年から1年遅行するので景気の転換点や局面の確認に利用されている。

以下、景気動向指数採用系列のまとめ

(1)先行系列…最終需要財在庫率指数、鉱工業用生産財在庫率指数、新規求人数(除学卒)、実質機械受注、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、投資環境指数、中小企業売上見通しDI
(2)一致系列…生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、所定労働時間指数、投資財出荷指数、商業販売額(小売業、卸売業)、営業利益(全産業)、中小企業出荷指数(製造業)、有効求人倍率(除学卒)
(3)遅行系列…第3次産業活動指数、常用雇用指数、実質法人企業設備投資、家計消費支出、法人税収入、完全失業率、消費者物価指数、最終需要財在庫指数

2、セクターアロケーション ・セクター間の相対比較を行うには下記の2通りの方法がある。
(1)トップダウンアプローチ 経済成長率や為替、金利、企業業績動向等のマクロ経済動向を予測、分析して、その結果をもとに資産配分(アセットアロケーション)、セクターアロケーション、銘柄選択という順番でポートフォリオを構成していく方法。
(2)ボトムアップアプローチ 個別企業の業績を予測、分析し、それを積み上げてポートフォリオを構成していく方法。尚、グローバルな競争に晒されているセクターでは、更に国際比較分析を行う必要がある。

・セクターアロケーションの基本
資産運用を行う場合、評価の基準となる市場の収益率が必要でそれをベンチマークと呼んでいる。資産運用戦略にはアクティブ運用とパッシブ運用の2つがあり、パッシブ運用がベンチマークと同程度の収益率の獲得を目標としているのに対して、アクティブ運用はそれを上回る収益率獲得を目標としている。アクティブ運用では、ベンチマークの収益率を上回ると予測するセクターのウェイトを高めて、逆にベンチマークの収益率を下回ると予測するセクターのウェイトを下げることでベンチマークを上回る収益率獲得を目指すことが可能となる。

アクティブ運用のセクターアロケーションの例を挙げてみよう。

(1)景気底入れ局面
・外需主導の景気回復を予想…外需関連セクターの投資ウェイトを高める。
・内需主導の景気回復を予想…内需関連セクターの投資ウェイトを高める。
・耐久消費財需要の高まりを予想…輸送用機器、住宅、電気機器等のセクターの投資ウェイトを高める。
(2)景気拡大局面 素材セクター、耐久消費財などの景気敏感セクター、市場ポートフォリオと連動性の高い(高ベータ)セクター、財務レバレッジ(有利子負債)の高いセクターの投資ウェイトを高める。
(3)景気後退局面 景気変動を受けにくいディフェンシブセクター(食品、薬品、家庭用品などの非耐久消費財)、市場ポートフォリオとの連動性の低い(低ベータ)セクターの投資ウェイトを高める。
(4)景気対策がとられる場合 財政政策や金融政策がとられるならば、その政策に関連するセクターへの影響を分析する。
※東証33業種の内 ディフェンシブ業種…食品、医薬品 景気敏感業種…パルプ・紙、化学、鉄鋼、非鉄金属、機械(工作機械) 金利敏感業種…電気・ガス、陸運(電鉄)、銀行、証券・商品先物、保険、その他金融 消費関連…小売、サービス